遭遇
林道を走る場合、落石や土砂崩れなどの自然災害、現象に注意が必要だ。
山肌を伝って流れている水や、その水際に生える苔類なども要注意だ。
その方面への覚悟は、ぼんやりしている私にも、在る。
その方面は、貧弱な想像力でも想像できる。
しかし
思いがけないことが起きるものだ。
相手が生き物の場合である。
イノシシや、カモシカや、タヌキ。
キジやヤマバトが飛び出すこともある。
谷をはさんだ向こうの山に、クマがいたこともある。
さらに
想像を絶するのは、相手がヒトだった場合である。
山菜やキノコ採りが行われていない夏場、
山奥の林道でヒトに遭う事を想定していない。
これが、スキー場の近くや、キャンプ場が近いならわかる。
公衆トイレも水場もないような、山奥だ。
携帯電話もつながらない奥地だ。
まさか
こんなところでイチャイチャしているヒトに遭遇するとは!
しかも車一台がやっと通れる林道に、駐車しやがって!
路肩の段差にびびりながら、二人と視線を合わせぬように
走り抜けた。
ひたすら走って、ひらけた場所に出た。
開放感といったら、なかった。