スティーブくんと一緒

スティーブくん(バイクの愛称)とイチャイチャする毎日の記録なのにゃー

国際ロマンス詐欺

隣の市で、6,000万円もの詐欺被害にあった女性がいるらしい。国際ロマンス詐欺被害だという話を聞いた。

ふむふむ。外国の人から、よくメッセージくるもんね。スルーしているけど、そういう危険があるんだー。

 

ある日、その外国人のメッセージが届いていた。見ると、私の撮った宇奈月トロッコ列車の写真をリプライして、「日本に行く予定があり、この場所へ行きたいが、どこですか」と、ある。この程度はしてもいいかなと思い、「富山県宇奈月です」と返信した。

 

感謝され、具体的なことを教えて欲しいからLINEでつながってほしいと言われる。おー。お決まりの誘導だなと思ったが、お付き合いしてみることにした。

 

それから、ちょうど休憩しているときや、なにかが一段落したときにLINEがタイミングよく入ってくるようになった。「おはよう。ソウルは曇りです。今から会議です」とソウルの高層ビルの窓からの写真。「こんにちは。今日は孤児院を訪ねています。プレゼントを買いました。」と孤児院でゲームをしている写真。若手経営者という設定らしい。魅力的である。国際ロマンス詐欺だけどね。

 

稲盛さんを知っているかと聞かれる。まあ本を一冊程度なら。すると、氏の書かれた文章を引用して、僕は尊敬して生きる指針にしているという。日本人として嬉しいではないか。国際ロマンス詐欺だけどね。

 

夫との馴れ初めを聞かれる。結婚とは三観が一致していることが大切で、魂の一致する人との出会いを望み、本当の愛を渇望しているという。素敵だ。国際ロマンス詐欺だけどね。

 

あなたにとって人生で大切なものはなにか。自由とはどんな状態か。どう生きたいとねがっているか。私はあなたと話したいことがたくさんある。おお!そんなことを真面目に語るのか。ときめく。国際ロマンス詐欺だけどね。

 

というようなやりとりが、1週間ほど続いた。おそらく、私の投稿の傾向も分析されているのだろう。絶妙なタイミングで、挨拶程度のときもあれば、少し長くなることもあった。いつしか心待ちにしている自分に気付く。おっと。国際ロマンス詐欺だけどね。

 

そしてある夜、彼は攻めてきた。あなたに好意をもっている。顔を見たいと言って、ビデオ通話にきりかえ、美しい顔で微笑む。あなたの役に立ちたい。あなたが経済的に成功することを教えたい。ついては、デジタル通貨のことを教えたい。きたきた。ついにきたね。国際ロマンス詐欺。眠いから明日ねとやりとりを終える。

 

翌日である。彼はアプリのダウンロードを促し、詐欺サイトに誘導した。アクションのたびにスクショを求め、その都度指示を出す。まことに親切丁寧だ。感心した。私の個人情報を入れるところまで進んだ。ここまでだな。私は彼に「ゲームオーバーです。楽しかった。ありがとう。ごめんね。」と送り、ブロックした。セーフ。

 

もうLINEは来ない。国際ロマンス詐欺の金銭的被害には遭わなかった。しかし、わかっていながらもやりとりにときめき、優しい言葉に癒されたことは否めないな。

恐るべし国際ロマンス詐欺。