タンデム
高校生の時、バイクで通勤していた先生がおられた。
まだ先生になりたての若い先生だった。
放課後などに
先生のバイクを舐め回すように見ていた。
先生のヤマハは、とても美しいバイクだった。
先生と、バイクの話をした。
どんなところが好きなのか
どんな体験をされたのか
どんな旅をしたいのか
どんな風にバイクと付き合っていきたいか
ときおり
バイクで死んだら本望だという私に
好きなことで死ぬのは哀しいぞ
と諭してくださった。
ライディングのビデオテープも貸してくださった。
卒業してから一度だけ
先生のヤマハにタンデムさせてもらった。
几帳面な性格そのままに
丁寧で安全な運転だった。
何年も年賀状を送って
何年も返事をいただいたけど
いつからか書かなくなった。
先生、お元気ですか。
私は相変わらずバイクに乗っています。