Iちゃん。
朝、納品の帰りにコンビニに寄って、コーヒーを買った。
ルーティンになっている行為だ。
店員さんとも顔見知りで、なにかしら言葉を交わす。
今日は、オーナーの娘さんが棚入れをされていた。
私の顔みるなり商品をおいて近寄ってこられた。
「Iさん、知っとるよね。亡くなったが。今晩お通夜。」
私はちょっと意味がわからなかった。
Iさんは、同じオーナーが経営しておられる
本屋さんと一体化しているコンビニの、店員さんだ。
本屋さんの書店員さんだ。
いつも私の好きな作家さんの本が発売されると
よけておいてくれる。
そのIさんが亡くなった。
聞くと、がんを患っておられて、治療しながら働いていたのだそうだ。
ちっとも知らなかった。
いつもこちらのほうが気遣ってもらっていた。
「体大事にしられ。働き過ぎやよ。」とか
「たまには休みにおいでよ。」とか
いつも笑顔で対応してくれた。
2週間前に自宅療養になり
亡くなる3日前に入院し亡くなったと聞いた。
耳から入ってくるけれど、理解できない。
コーヒーを持って車に戻り
走らせるうちに涙があふれてきた。
3週間前、本屋さんに寄った時
彼女はこう声をかけてくれたのだった。
「Mちゃんに会えてよかったよ。」
なんだか改まっていたのは、別れを意識していたのかな。