スーパーカブ
嫁いだ家の近所には
何人もスーパーカブオーナーがいた。
過去形だ。
鬼籍に入られた3軒隣のおじさんは、80ccのカブで
山菜採りに行ったり
街にお使いに行ったり、病院に出かけたりしておられた。
6軒隣のおじさんは、大工さんで、
カブの荷台に道具を載せて
あちこちに仕事に行っておられたが、
脳梗塞を患ってから、免許を返納された。
同じ町内の、ちょっと離れたところに家があったおばさんは
カブに孫をおんぶして乗り、銭湯通いしておられた。
ある日
スティーブくんを家の前で洗っていたら
3軒隣のおじさんがカブを横付けして
いろいろ質問してこられた。
そこに大工のおじさんが、カブで通りかかり
ニコニコと話に参加された。
そして、バイクが如何に気持ち良い乗り物かと
激しく同意しあった。
それぞれの用事のためにカブを発進させる。
去り際に、
いつか、んなしてツーリングしよまいかなぁ
と笑いあった。
もうカブのみなさんとは実現しないけれど
町内のバイク乗りで、ツーリングクラブが結成された。
いいクラブですが、カブのオーナーは皆無です。