理想の悪
雪が降らないので
アルバイトのために用意した時間を
多少もてあます。
やるべきことはあるけれど
やりたいことに使う。
縁遠くなっていた図書館に
足しげく通い
娯楽小説を久々に手に取る。
軽いからもたれない。
若いミュージシャンで小説家の一冊を読んだ。
わたしには経験のない言葉のつかいかたが、新鮮だった。
その一つが「理想の悪」という表現だ。
自分を捨てた父親の中に「理想の悪」があって
父親が死んだときにそれも永遠に失ったとある。
私は自分の父に対して「理想の悪」をいうことを
思った事はないけど
何となく解る気がした。
「理想の悪」という言葉だけをつかまえて
自分にとっての理想の悪を思った時
それは
馬とかバイクとかに乗っている。
自動車とか飛行機ではない。
自分のなかの悪は、孤独で、バイクに乗っている。
言い換えれば、ワルイ自分になりたくてバイクに乗る。
ではバイク仲間は悪かというと、そうじゃなくて
むしろ愛だ。