スティーブくんと一緒

スティーブくん(バイクの愛称)とイチャイチャする毎日の記録なのにゃー

溝にはまった思い出

高校を卒業してすぐに看板屋に就職した。

バブル期で、勢いがあったSという建設会社の仕事を一手に

引き受けていた会社だった。

山に住んでいた私は、1時間かけて海に近いその会社に通った。

当時S社は、私の住む地域で中学校や庁舎や、ダムなどを建設していた。

私は、帰宅時にその現場事務所に届け物を頼まれるようになった。

工事期間に看板はたくさん必要で、建築物にも看板は必要だった。

ときおり、簡単な施工もさせてもらえるようになった。

現場事務所に頻繁に寄るようになり

顔馴染みの監督さんも増えた。

特に庁舎の現場事務所には、独身男性が何人もいて

よく遊びに誘われた。

私の会社には、独身女性が何人もいたので、

一緒にスキーに行ったり、ボーリングやスケートに

行ったりした。

 

そんなグループ交際の中で、突然コガちゃんが

独身寮から電話をかけてきて、二人で会うことになった。

私は幼くて、お兄さんみたいに思っていたので

バイクで待ち合わせ場所に行った。

コガちゃんは、だいじにしていたレビンの助手席に

乗せてくれるつもりだったようだった。

無神経な私がバイクで登場し、コガちゃんは

オレも大学生の頃は乗っていたんだ

と、カッコよくまたがった。

そして、スーッと道路に走り出て、路面電車の線路の溝にはまった。

私は、駆け寄って後ろから引っ張った。

幸いにも車が来ない。

コガちゃんもバイクからおりて、二人で引っ張った。

なんとか抜けたとき、私は笑ったけど

コガちゃんは目を伏せて、レビンに乗り込んで出てこなかった。

私は面倒くさくなって、帰ってしまった。

 

あれからコガちゃんと会っていない。

元気かな。